2024年4月23日(火)「しんぶん赤旗」より

「平和国家」覆す日米合意告発

志位議長の質問 衆院予算委

 「平和国家」としての理念をことごとく壊した―。日本共産党の志位和夫議長は22日の衆院予算委員会で、岸田政権が進めてきた敵基地攻撃能力の保有、軍事費2倍化などに加え、10日(日本時間11日)の日米首脳会談で、自衛隊が事実上、米軍の指揮下に組み込まれ、主権まで米軍に差し出すことになる危険性を、具体的な事実にもとづいて告発しました。

日米会談 岸田首相国賓待遇

70年来の政策覆したから

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(写真)岸田文雄首相(右)に質問する志位和夫議長(左)=22日、衆院予算委

 志位氏は、米国が岸田文雄首相を国賓待遇で招待した背景について質問し、その“真意”を突きました。

 米国のラーム・エマニュエル駐日大使は5日付「産経」インタビューで、岸田政権による軍事費の2倍化、敵基地攻撃能力の保有・トマホークの購入、武器輸出の拡大などをあげ、「70年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した」と絶賛しています。志位氏は「エマニュエル大使のこの評価は、ズバリ真実を語っている」と述べ、「『根底から覆した』という評価は、間違った評価なのか、正しい評価なのか」と、岸田首相の受け止めを問いました。

 岸田首相はエマニュエル氏の発言を否定せず、訪米や大軍拡の施策は憲法や国内法、国際法の範囲内だと強弁。「平和国家として専守防衛に徹し、他国に脅威に与えるような軍事大国にはならないとの基本方針は、今後も変わらない」と述べました。

 志位氏は「大陸の奥深くまで届く極超音速ミサイルの開発など敵基地攻撃能力保有を進めながら、『専守防衛』というのは成り立たない」と批判。岸田政権の大軍拡は、「歴代政権が憲法に基づく『平和国家』の理念としてきたことを、ことごとく『根底から覆した』ものだ」と強調し、「この点でエマニュエル大使の発言はまさに図星だ」と指摘しました。

東アジアの平和構築へ9条生かした外交求める

 日米首脳会談の危険な内容を告発した志位氏は、「いま日本が進むべき道は、軍事的対応の強化の道ではなく、東アジアの平和を構築するための、憲法9条を生かした平和外交にこそある」と指摘し、日本共産党が17日に発表した「東アジアの平和構築への提言」を紹介。「ぜひ真剣に検討していただきたい」と求め、「提言」を岸田首相に提起しました。

敵基地攻撃で「指揮統制」

「米軍頼み」は明らか

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 志位氏は、日米首脳会談の最大の問題は、バイデン米大統領が「日米同盟が始まって以来、最も重要なアップグレード(更新)」と述べたように「米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み込んだことだ」と指摘しました。さらに、18日の自身の代表質問に対して岸田首相は、日米が共同対処を行う場合、「シームレス(切れ目のない)な統合を可能にするため、日米それぞれの指揮統制の枠組みを向上することで一致した」と述べたと指摘。それでは、どういう「日米共同対処」をしようとしているのか―。

 志位氏は、2022年12月に防衛省が作成した敵基地攻撃における「日米共同対処」の「オペレーションサイクル」の図解を示し(上図)、「目標情報の共有、反撃を行う目標の分担、成果についての評価の共有等について、日米で協力を行う」と明記していると指摘。重要なことは同文書が「指揮統制」と明記し、「米軍と自衛隊が指揮統制でも緊密な協力を行うことを明示されていることだ」と強調し、「指揮統制は情報でも、装備でも、圧倒的に優越的な立場にある米軍主導で行われ、自衛隊は事実上、米軍の指揮統制のもとに置かれることは明らかではないか」と迫りました。

 岸田首相は「主権国家として主体的判断のもとで行う」と答弁するのみで、自衛隊が「独立した指揮系統」で活動する保障がどこにあるかの根拠を具体的に示せませんでした。

専門家も指摘

 志位氏は、岸田首相の無責任な答弁に対し、「軍事の現場をよく知る専門家はなんと言っているか」と提起しました。

 陸上自衛隊元幹部で、防衛大臣政務官などを歴任した自民党の佐藤正久参院議員は「反撃能力を日本が持とうとすると、目標情報一つとっても、アメリカから相当情報をもらわないと目標情報は取れない」とし、「目標情報」から米軍頼みになると述べていると指摘。さらに、元航空自衛隊第7航空団司令の林吉永氏も「自衛隊には、国内は別にして海外のどの敵基地を反撃していいか、反撃した結果どういう戦果が出たのか把握する能力はない。そこは、米軍に頼ることになる」などと述べていることを挙げ、「専門家は米軍に全面的に頼ることになると言っている。総理がいくら『独立した指揮系統』と言っても、何の保障もない」と批判しました。

 また志位氏は、現役の自衛隊幹部が「朝日」(3月28日付)で「共同作戦の実行では米軍の圧倒的な監視・偵察能力、装備に頼らざるを得ず、独立した指揮系統では日本は動けない。今後は『独立した指揮系統』という岸田答弁がネックになる」と語っていることを示すと、与党席からどよめきが起こりました。「幹部がここまで言い切っている。総理の答弁通りに行動すれば自衛隊は動けない。『独立した指揮系統』の保障など、どこにもない」と厳しく批判しました。

米システムと「シームレスな統合」

日本の主権差し出す

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 「『シームレスな統合』は米軍の指揮統制システムに自衛隊を統合し、日本の主権まで米国に差し出すことだ」―。志位氏は米軍の資料を示し、日米首脳会談で合意された米軍と自衛隊の指揮統制機能の連携強化の危険性を厳しく告発しました。

 志位氏は、敵基地攻撃とミサイル防衛を同時に行う「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」の基本方針として、米インド太平洋軍の「IAMDビジョン2028」は「同盟国とシームレスに統合する能力を備え、あらゆる航空・ミサイル脅威から重要な基地と機動部隊・遠征部隊を防衛する」と明記していると指摘。「自衛隊が進めるIAMDは、米軍のIAMDと『シームレスに統合』することになる」と迫りました。

 岸田首相は「米軍のIAMDと名称は似ているが別物だ」と弁明。これに対して志位氏は、米空軍の「航空宇宙作戦レビュー」に掲載されている「IAMDビジョン2028」の公式解説論文を示して反論しました。

 それによると、米国単独でIAMDを強化するのは「実行不可能」で、「同盟国やパートナー国が絶対に不可欠であり、地域の同盟国とシームレスに統合する」と述べていると指摘。「首相がいくら『別物』だと言っても、米軍はIAMDを実施するには『シームレスな統合』が絶対不可欠だと言っている。米国と同盟国との指揮統制が一体になる」と強調しました。

 岸田首相は「シームレスな統合」について「日米が共同対処を行う場合、さまざまな領域で作戦や能力を行うにあたり、切れ目なく緊密に連携することが重要だ」と認めましたが、「憲法や平和国家の枠組みに外れないよう最後は日本の内閣総理大臣がグリップ(掌握)する」と述べました。

 これに対して志位氏は、解説論文が、広大なインド太平洋地域では全ての同盟国を米国防総省が進めている「統合全領域指揮統制(JADC2)」に組み込む方針を示していると指摘。JADC2は陸海空、宇宙、サイバー、電磁波など全ての領域の情報を一元的に統合し、人工知能(AI)などを活用し「攻撃すべき目標」と「最適の攻撃手段」を迅速に決定する指揮統制システムだとされています。米国のIAMDの方針は、このシステムにすべての同盟国を組み込む方針を示しています。

 その際、解説論文は「(同盟国に)主権の一部を切り離させる、政府をあげてのアプローチが必要だ」と明記しています。志位氏はこの点を「重大だ」と指摘し、「これが米軍の言う『シームレスな統合』だ。米国防総省が進める指揮統制システムに自衛隊を統合し、日本の主権まで米国に差し出す。こうした方向に進むことを岸田首相は日米首脳会談で同意してきたのだ」と強調。「自衛隊は事実上、米軍の指揮下に置かれることになる。まぎれもない憲法違反だ。国の独立をかなぐり捨てるものだ」と批判しました。