2023年1月23日(月)「しんぶん赤旗」より

日米共同訓練・演習 21年度 延べ961日

対中国の多国間訓練増

英空母と7月以降9回

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(写真)米海軍横須賀基地に入港するイギリス海軍空母「クイーン・エリザベス」=2021年9月4日、神奈川県横須賀市

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 自衛隊と米軍が2021年度に実施した共同訓練・演習(日米双方が参加した多国間共同訓練を含む)が少なくとも135回、延べ961日に達したことが分かりました。新型コロナウイルス感染拡大で減少した20年度と比べ、約2倍に増加。日米のみならず欧州諸国などを加えた多国間共同訓練が急増し、対中国を想定した訓練が目立ちます。

 本紙が防衛省への情報公開請求で入手した資料などをもとに集計しました。延べ日数の内訳は、統合幕僚監部が191日、陸上自衛隊が238日、海上自衛隊が362日、航空自衛隊が170日で、いずれも20年度より増えました。

 日米を含む多国間共同訓練は40回に上り、コロナ禍前の19年度と比べて約1・7倍に増加しました。

 特に英国との訓練が増加しています。21年2月の日英外務・防衛閣僚会合「2プラス2」で、英空母打撃群との共同訓練の実施を確認。それを受けて英空母「クイーン・エリザベス」との共同訓練(米軍も参加)を同年7月以降で少なくとも9回実施しました。他にもオーストラリアやインド、オランダなどとの訓練が増えています。

 これらの訓練は、日米豪印や欧州諸国などで構成し、事実上の中国包囲網である「自由で開かれたインド太平洋」強化の一環で、分断を強める軍事ブロック形成の一環といえます。23年1月の日米2プラス2では、オーストラリアや韓国との訓練の増加を確認しており、今後も日米を含む多国間訓練が増えると見込まれます。

大規模演習繰り返す

日米共同 南西諸島周辺で顕著

 2021年度は、台湾を含む南シナ海、東シナ海を舞台に米中対立が激化しました。21年4月の菅義偉首相(当時)とバイデン米大統領による首脳会談では、共同声明に52年ぶりに「台湾海峡」について明記。日米同盟のさらなる強化や日本の軍拡で合意し、実行されてきました。

 そうした中、中国を想定した大規模な演習・訓練が繰り返されました。陸上自衛隊と米陸軍が同年6月に全国各地で実施した実動演習「オリエント・シールド21」は、過去最大規模となる約4700人(20年度比2・5倍)が参加。島しょ防衛を想定し、鹿児島県の奄美大島で日米の地対空ミサイル部隊による共同防空戦闘訓練を初めて実施しました。

 また陸自と米海兵隊による最大規模の実動演習「レゾリュート・ドラゴン21」(同年12月)では、南西諸島で長射程の対艦・対空ミサイルを展開し、中国を阻止する米海兵隊の作戦構想「遠征前進基地作戦」(EABO)に基づく日米共同訓練を行いました。同年11月には、海自と米海軍の潜水艦による共同訓練を南シナ海で初めて実施。台湾も位置する南シナ海で潜水艦の存在を誇示することで、中国を抑止する狙いがあるとみられます。

 22年3月に“日本版海兵隊”といわれる陸自の「水陸機動団」と、海外への“殴り込み”の先頭にたつ米第31海兵遠征隊(31MEU)による共同訓練を行い、陸自V22オスプレイと米海兵隊MV22オスプレイが初めて共同訓練を行いました。同月には日米のF35Aステルス戦闘機による訓練を初めて実施。日米戦闘機による共同訓練を深化させています。

 また、空自などは核兵器搭載可能な米戦略爆撃機B52との共同訓練を少なくとも5回実施。B52は米戦略核戦力の柱の一つで、共同訓練の常態化は、自衛隊が米国の核戦略に組み込まれていることを示しています。

 23年1月の日米2プラス2では、中国について「インド太平洋地域および国際社会全体における最大の戦略的挑戦」と位置づけ、「南西諸島を含む地域において、共同演習・訓練を増加させる」と確認しました。今後も中国を想定した訓練が強まる恐れがあります。